Gorilla 50 Ultralight Backpack

Gossamer Gearの代表モデルの一つGorillaが5代目に。ゴッサマーらしいデザインに戻りました。使用生地をアップデートし、細部にもこだわり今一度軽量化を見つめ直しました。

仕様

重量
総重量:863g / Mサイズ
本体:514g
ウエストベルト:200g
フレーム:84g
SitPad:65g
容量
最大 約50リットル
*本体のみ容量 約36L
素材
本体:70d Robicリップストップナイロン
補強部:100d Robic リップストップナイロン
背面部:70d シリコンコーテッドリップストップ
サイズ
S、M、L
カラー
グレイ、イエロー

1998年に創業した「Ultralight Backpack」のパイオニアGossamer Gear(略 GG)。同社のバックパックはインディペンデントメーカーとして、各モデルが超軽量バックパックの転機、マイルストーンともいえる役割を果たしています。

特にこの『Gorilla』というモデルは初代が2008年に発売されて以来瞬く間に人気が出て、GGを代表するモデルとなりました。なんと今回で5代目となるこのアップデートの多さも人気を表す一つと言えるます。

トップリッドが搭載され見た目の雰囲気が変わった先代から今回のアップデートでは2・3代目と同様のデザインがふたたび採用され、ゴッサマーギアらしく戻ったのは、従来のファンにとっても、よりシンプルなゴッサマーギアのデザインに惹かれているカスタマーにとっては朗報と言えます。

初代は「Gossamer(蜘蛛の糸、透き通るような薄い羽)」という言葉を裏切るかのような「 210d ダブルリップストップナイロン」という丈夫な生地を採用。2012年フルモデルチェンジした二代目はオリジナルオーダーの生地 「140d ダイニーマグリッドストップナイロン」を使用。この素材はその後のUL生地のスタンダードのひとつとなりました。どちらも“軽さと丈夫さ”のバランス感の良さを重要視していました。3代目の2014年モデルチェンジでは、またもや今までのUL界では使われることの無かった新たな素材「100d Robic リップストップナイロン」を採用し、今まで以上の軽さと丈夫さを手に入れたのです。そして2016年にはさらに軽量な「70d Robic リップストップナイロン」を採用しましたが、高密度な生地のため確実に生地の強度は初代よりも確実に高いのです。

絶妙なカーブを有するアルミステーはマスプロダクトにも劣らない高いフィット感を持っています。またバックパック全体の軽量化を図った分、ショルダーやウェストベルトの素材を見直した剛性感を持ったウルトラライトなバックパックへと改良されています。その結果、現在、岩場や渓流などでのハードな使用にも対応できるULバックパックとして、少なからぬ支持と実績とを積み重ねるようになりました。

 

ゴリラの基本となる特徴を見ていきましょう。

  1. 高密度に織り込まれた、生地強度の高い『70dn Robic Ripstop Nylon』と『100dn Robic Ripstop Nylon』。
  2. 奥行き 5.5inch(14cm)の薄手フォルムによるパックバランスの良さ
  3. カーブしたアルミステーによる高いフィット感
  4. 簡単に入れ替え可能な背面パッドシステム
  5. 手が簡単に届く大型のサイドポケット
  6. ウィークエンドからロングディスタンスまで対応する、45L程度という容量
  7. ハイカー自身による自由度の高さを生むユーティリティループ

剛性感も兼ね合わせたショルダー、ウェストのハーネス。強化されたメッシュ素材。

メインボディには先代から使用している『70dn Robic Ripstop Nylon』。強度の必要な部分には『100dn Robic Ripstop Nylon』。複雑で高密度に織り込んだナイロン素材は引裂強度も向上しています。糸の径そのものは細くなったことで、生地重量は減少しました。素材自体は同じですが、カラーはややダークトーンになり、全体に落ち着いた雰囲気になっています。

サイドストラップやパーツは今一度軽さにこだわり細いものへと変更になりました。数グラムの差しかありませんが、小さい積み重ねが大切だということでしょう。

ULバックパックは肩甲骨を中心に背中全体で背負うものですが、ハイキング期間が長くなったり、積載量が増えたときなど、腰のサポートが安定感をもたらすのは事実で、ロングトレイルを歩く多くのハイカーがウェストベルトのサポートを必要としているのです。ゴリラが採用している幅広いショルダーハーネスは、3〜4日から一週間、そして一ヶ月、数ヶ月のロングハイキング志向のハイカーには頼れる機能だといえます。

ショルダー、ウェストハーネスは厚みがしっかりとしています。従来幅は広めですが、カーブが付き、柔らかな素材のため多くの人に心地よくフィットするようになりました。裏側には汗ぬけの良い「3D Air Mesh」を採用しています。この素材は決して珍しいものではなく、以前は数多くのバックパックに当たり前のように使われていたものです。パッドを封入するクラシックなタイプは軽量化には役立つものの、使用頻度が高くなると痩せてきてしまったり、どうしても耐久性に難がありました。使い込んで柔らかくなるのも一つの良さではありましたが、パッドは汗を吸うと菌が発生しやすく、臭いのもとになったりする原因のひとつでした。しかし、3D Air Meshは、耐久性も高く、汗だまり、保水も防ぎ、通気性も高いことから、臭いの発生も抑えられる良さがあります。使われなくなった理由は重さです。良い素材ではあったのですが、重いために真っ先に軽量化の対象となっていました。ところが生地変更にともない全体に軽量化できたことで、より良い素材をショルダー、 ウェストハーネスの両方に使うことが可能になりました。確かにこれが原因で、総重量の増加には繋がってしまったけれども、今まで以上の高いフィット感を手に入れることになったのです。

フロントポケット下部はバックパックを置いた時にもメッシュを保護できるよう、ナイロンでの補強が施されています。またフロント、サイド共に水抜き穴があります。フロントポケットのメッシュ素材「Darlington Mesh」は一般に普及しているパワーメッシュと比べ強度が高くなっています。パワーメッシュは4方向ストレッチに対し、ダーリントンメッシュは横方向のみですが伸び率は非常に高く、また長期使用などで紫外線に長く晒されても、パワーメッシュと比べて劣化しにくいという利点もあります。

自由度の高い背面システム

ゴッサマーギアのバックパックは他メーカーにはないオリジナリティあふれる機能が盛りだくさんですが、その中でも大きな特徴といえるのが、背面パッドが外側からアクセスできて、簡単に入れ替えられることです。

通常のオプションとしては「SitLight pad」が付属しています。これ自体も座布団としての使い方はもちろん、就寝時のプラスワンのパッドとして使えます。

それ以外にも、山と道「ミニマリストパッド」やエバニュー「FP Mat 100」などはそのまま折り畳んで入れることが可能です。マットの場所が邪魔にならずに100cmの長さがありますから、季節によってはそのままそれが就寝用マットになります。

スタッフは、リッジレストを約100センチにカットしバックパック本体内部にロールして収納。それ以外に折りたためるマットを背面に入れて使っています。3シーズンであれば、全部広げて100+100=200センチのフルサイズのスリーピングマットとして使用。やや寒冷な季節には折りたたみマットを半分にし、100+50=150センチの長さで使いわけをしています。

OTT方式のトップクロージング

2012年より採用されたGossamer Gearオリジナルのトップクロージング方式

*写真はダイニーマタイプの頃のものとなりますが方式は同じです。


トップリッドに見えるユニークな方式ですが、基本的には上部を折り畳んで抑えるといった方法になります。小さなバックルで内側に折り畳んで固定するため、簡単にきれいな形が出せるようになります。

パッキングの自由度を高めるコードループ標準装備

前面にも側面にもバンジーコードなどを使用してコンプレッションをかけたり、ものを挟んだりするのに使えるコードループが装備されています。この仕様は他のGossamer Gearのバックパックも同様です。

*オプション品 ゴッサマーギア パックコンプレッションコード(2mmブラックバンジーコード2m、2ホールコードロック2個のセット)/¥450+tax

ポールホルダー、アイスアクスホルダー

左側がトレッキングポールホルダー。石突きを指して固定します。右はアイスアクスホルダー。どちらも上部には特定のホルダーが付いていないので、コードループなどを使用し固定します。*写真は以前のモデルで現行品とは色目が異なります。

サイズについて

アメリカサイズとなります。

  • Sサイズ

身長155cm以上の女性
身長160cm以下の体が小さい男性

  • Mサイズ

身長165cm以上のほとんどの男性
身長160cm前後大柄な男性
身長165センチ以上の女性。(場合によってはSサイズのベルトへの交換も可能です)

  • Lサイズ

身長185センチ以上の男性、もしくは大柄な男性向け


従来の無骨でどことなください、Gossamer Gearのデザインに魅力を感じているのは確かです。しかし、毎回リニューアルデザインをした製品の細部を見れば見るほど、各改良点に意味があることが見て取れるのです。日本ではガレージメーカーと言われますが、彼らはガレージメーカーとは思っていません。インディペンデントではあるものの、メーカーとしてより良い商品を作ることを考えています。今回のモデルチェンジで重量は増しました。これは以前Goliteにも起きた動きです。しかし、これこそメー カーとしての成長の明かしです。多くのカスタマーに支持されるようになったからこそ、多少の重量増を受け入れてもより多くの人が使いやすいものへと、正常な進化をしていると言えるのです。

スタッフ長谷川 使用レポート

2018.3.25〜3.31 みちのく潮風トレイル 久慈〜宮古間 約144km

しっかりと腰荷重もできるが歩きやすい動きやすさも備えた
5代目のゴリラとPCT以来8年間の相棒LT4

全体的には重くなっているゴリラですが初代から背負い比べていて、バックパック自体の重さがすごく気になるということは無く、むしろ腰荷重も安定してきているにも関わらず、動きやすさは失われていないので、ロングディスタンスハイキング中の重さの増減の大きな幅にも対応し、軽く素早くしたい時もがっつり担いで行く時も一つのバックパックで、自分のハイキングスタイルに広がりを持つことができると思います。また水場が近くに無い“ドライキャンプ”はハイキングの距離や自分の寝床を自由に選ぶのに最適ですが、その代わり疲れが出ている1日の最後に一番重たい水を数リットル担ぐ必要があります。その時にも重さを気にしすぎることなく安心して積むことができるのはこのしっかりとした安定性を増したウェストハーネスのおかげだと思います。また大きなボトルも収納してしまうゆとりのあるサイドポケットやなんでも飲み込んでしまうかのような伸縮性のある大きなフロントポケットはやはり他メーカーには無い大きな大きな魅力といえます。背面のパッドが外側から出し入れできるのもやっぱり便利。やはりバックパックの使い勝手の高さは軽量バックパックメーカーの中では抜きん出ていると「勝手」に思っておる次第でございます。