スルーハイカーに愛されてきた、フレーム入り超軽量大型バックパックの代名詞。新たな進化をみせるゴッサマーギアの主峰。機能はそのままに剛性感アップ。
仕様
- 重量
- 全体 962g / Mサイズ
本体 565g
ウエストベルト 223g
フレーム 84g
背面パッド SitPad 90g
(*誤差あり) - 容量
- 最大容量60L
*本体容量約38L - 素材
- 本体 100 dn Robicリップストップナイロン
補強部 200 dn Robic リップストップナイロン
背面部 70 dn シリコンコーテッドリップストップ
- サイズ
- S、M、L
- カラー
- グレイ、グリーン
アメリカ国内ではG4やGorilla以上にゴッサマーギアの顔、まさにフラッグシップモデルと言ってよいのが『Mariposa』です。ゴッサマーギア中興の祖である「マリポサプラス」からフレーム入りULバックパックの流れが始まったと言えなくありません。アメリカや日本でも人気が高いゴリラですが、ベアキャニスターが必要となるアメリカ一部地域を通過 するハイカーや、ULバックパッキングの手段を取り入れながらも従来のスタイルに近いハイカーや、荷物が増えがちな長距離を歩くハイカー、海外への遠征の時などに、その安心感のあるサイズから支持され続けていました。冬期など荷物が多くなるような際には大きな存在感がありますし、ロングディスタンストレイルを歩くハイカーの多いアメリカでは一番の人気を誇ります。
スタイルとデザイン
Gossamer Gear のデザインの特徴として『やや縦長な薄い形』ということがあります。他のメーカーと比べても全体的にスマートに見えて、そこがゴッサマーギアの人気ポイン トの一つでもあるでしょう。マリポサにおいても同様の考え方だと言えます。ですが、そこに特徴的な雰囲気を与えているのが左右で異なるポケット形状でしょう。
・正面からみると左右いびつに見える
左側にあるのは縦長のポケット。これは明らかに当社の代表モデルであり、ULバックパックオリジナルデザインの一つである『G4』を継承していま す。右側はその縦長のポケットを真ん中から上下に分けたような形です。これにより、長物・大物は縦長のポケットにざっくり、たっぷりと入れることができま す。上下に分かれたポケットによりボトルなどのすぐに取り出したいものは下ポケット、行動食やエマージェンシーアイテムなどは上ポケット、といった様々に自由な使い方ができるようになるのです。
・上と下に分かれて付いたポケット
・大きく縦に一つ付いた大容量ポケット
カーブしたアルミフレームによる荷重分散
それを実現しているのは、絶妙なカーブを持ったシンプルで剛性のある『コの字形』アルミフレーム。これによりしっかりとした荷重分散が行えます。 実際メーカーとして、35 lb(ポンド)(およそ15.7キロ)を最大積載重量としているULメーカーは少ないと思います。Granite Gear Crown60 で同じく35lbとしていますが、それよりも容量の大きいGolite Jam70では30lb 、同様にフレームが入っていても反発力による荷重分散をするULA Ohm2.0も30lbまでなのです。
何を目的とするかによりますが、背中に合わせてカーブしフィット感をだしつつ、剛性がありしっかりと背中を支えて荷重分散をし、さらに左右の動きにも対応できるのが、コの字アルミフレームなのです。
素材変更。生地強度と軽さのバランス。100d Robic Ripstop Nylon
140dnダイニーマグリッドストップナイロンから100d Robic Ripstop Nylonへ変更。100d Robicナイロンは、以前の210d、140dよりもさらに番手の細い繊維を使用していますが、複雑で高密度に織り込んだナイロン素材は引裂強度も向上しています。糸の径そのものは細くなったことで、生地重量は減少しました。140d ダイニーマグリッドストップの時もそうでしたが、この素材もゴッサマーギアのオリジナルオーダーで、ULバックパックでは初めての使用素材となります。バックパック全体の軽量化を図った分、今までよりも、ショルダーやウェストベルトの素材を見直し、より剛性感を持った ウルトラライトなバックパックへと改良されています。フロントの大型メッシュポケットの素材は、従来のPower Meshから、これもオリジナルカスタムのストレッチメッシュへと変更し、伸びを充分に活かしながらも、今まで以上の強度を手に入れました。
従来の生地や作りでも、ULの考え方では十分なのですが、やはり多くの人達には受け入れられにくかったのも事実です。今回の変更により重量こそは以前より重くなってしまったものの、未だこのクラスの大きさでは他には無い軽さを持っています。そこに丈夫さが加わったことで今まで以上に 様々な環境に対応でき、また多くのハイカーに受け入れやすく進化したバックパックになったのです。
補強されたショルダーとウエストハーネス
ショルダーは従来のパッド挿入式から縫い込み式に変更されました。更にショルダー幅やカーブも改良されより背負いやすいフォルムとなりました。もとよりアルミステーのカーブが提供するフィット感には定評があったマリポサ。更にショルダーが改良されたことで、マスプロダクトにも劣らないフィット感となっています。
ショルダーは従来のパッドを封入したタイプから、3D Air Meshを採用しました。この素材は決して珍しいものではなく、以前は数多くのバックパックに当たり前のように使われていたものです。
パッドを封入するタイプは軽量化には役立つものの、使用頻度が高くなると痩せてきてしまったり、どうしても耐久性に難がありました。使い込んで柔 らかくなるのも一つの良さではありましたが、パッドは汗を吸うと菌が発生しやすく、臭いのもとになったりする原因のひとつでした。
しかし、3D Air Meshは、耐久性も高く、汗だまり、保水も防ぎ、通気性も高いことから、臭いの発生も抑えられる良さがあります。使われなくなった理由は重さです。良い 素材ではあったが、重いので、真っ先に軽量化の対象となっていました。ところが、素材変更に伴い全体に軽量化できたことで、より良い素材をショルダー、 ウェストハーネスの両方に使うことが可能になりました。
確かにこれが原因で、総重量の増加には繋がってしまったけれども、今まで以上の高いフィット感を手に入れることになったのです。
ULバックパックは肩甲骨を中心に背中全体で背負うものですが、ハイキング期間が長くなったり、積載量が増えたときなど、腰のサポートが安定感をもたらす のは事実で、ロングトレイルを歩く多くのハイカーが、ウェストベルトのサポートを必要としているのです。3、4日から一週間、そして一ヶ月、数ヶ月のロン グハイキングへ。そうしたロング志向のハイカーには頼れる機能だといえます。
新しくなったショルダー、ウェストのハーネス。強化されたメッシュ素材
ショルダー、ウェストハーネスは厚みがしっかりとしています。幅は従来より若干細くなったので、より多くの人にフィットしやすくなりました。裏側は汗ぬけの良い3Dメッシュ素材になっています。
フロントポケットには従来のパワーメッシュよりも強度が強く紫外線劣化にも強いDarlington Meshを採用しました。フロントポケット下部はバックパックを置いた時にもメッシュを保護できるよう、ナイロンでの補強が施されています。またフロント、サイド共に水抜き穴があります。
背面のメッシュ素材はパッドの出し入れのしやすさなどを考え、パワーメッシュを採用しています。
OTT方式のトップクロージング
2012年より採用されたGossamer Gearオリジナルのトップクロージング方式
*写真はダイニーマタイプの頃のものとなりますが方式は同じです。
トップリッドに見えるユニークな方式ですが、基本的には上部を折り畳んで抑えるといった方法になります。小さなバックルで内側に折り畳んで固定するため、簡単にきれいな形が出せるようになります。
パッキングの自由度を高めるコードループ標準装備
- 側面から見ると後ろ側に4ヶ所。前側に4ヶ所(全面に見えているところと同じ)
- OTT部分の前後に2ヶ所(全部で4ヶ所)。
ここに別途購入したバンジーコードを使ってコンプレッションをかけたり、ものを挟んだりするのに使うことができます。
*オプション品 ゴッサマーギア パックコンプレッションコード(2mmブラックバンジーコード2m、2ホールコードロック2個のセット)/¥450+tax
自由度の高い背面システム
ゴッサマーギアのバックパックは他メーカーにはないオリジナリティあふれる機能が盛りだくさんですが、その中でも大きな特徴といえるのが、背面パッドが外側からアクセスできて、簡単に入れ替えられることです。
通常のオプションとしては「SitLight pad」が付属しています。これ自体も座布団としての使い方はもちろん、就寝時のプラスワンのパッドとして使えます。
それ以外にも、山と道「ミニマリストパッド」やエバニュー「FP Mat 100」などはそのまま折り畳んで入れることが可能です。マットの場所が邪魔にならずに100cmの長さがありますから、季節によってはそのままそれが就寝用マットになります。
スタッフ長谷川は、リッジレストを約100センチにカットしバックパック本体内部にロールして収納。それ以外に折りたためるマットを背面に入れて使っています。3シーズンであれば、全部広げて100+100=200センチのフルサイズのスリーピングマットとして使用。やや寒冷な季節には折りたたみマットを半分にし、100+50=150センチの長さで使いわけをしています。
ポールホルダー、アイスアクスホルダー
左側がトレッキングポールホルダー。石突きを指して固定します。右はアイスアクスホルダー。どちらも上部には特定のホルダーが付いていないので、コードループなどを使用し固定します。
同サイズと比較した時の重量
- ☆Gossamer Gear Mariposa サイズ 60L(公称) 実測 937g フレーム、シットパッド含む
- Granite Gear Crown60 サイズ 60L(公称) 実測 980g フレーム有り、取出し可/パッド埋込み
- Golite Jam 70 サイズ 70L(公称) 実測 950g フレーム無し/パッド取出し可
- Golite Jam 50 サイズ50L(公称) 実測 850g フレーム無し/パッド取出し可
- ULA Ohm2.0 サイズ64L(公称最大値) 実測 870g フレームあり/パッド取出し可
- HMG Porter サイズ55L(公称) 実測 870g フレームあり、取出し可/パッド埋込み
外ポケットなどが付いたフレーム入りパックとしては軽いのが分かります。加えて、背面パッドをスリーピングパッドにできる機能を活かせば一段と軽さに差がつきます。もちろん生地の丈夫さが違いますので、使う用途により選ぶことが大切にはなりますが、トレイル上を歩くハイキングにおいてはこの軽さが優位に働くことでしょう。
従来の無骨でどことなください、Gossamer Gearのデザインに魅力を感じているのは確かです。しかし、毎回リニューアルデザインをした製品の細部を見れば見るほど、各改良点に意味があることが見て取れるのです。日本ではガレージメーカーと言われますが、彼らはガレージメーカーとは思っていません。インディペンデントではあるものの、メーカーとしてより良い商品を作ることを考えています。今回のモデルチェンジで重量は増しました。これは以前Goliteにも起きた動きです。しかし、これこそメー カーとしての成長の明かしです。多くのカスタマーに支持されるようになったからこそ、多少の重量増を受け入れてもより多くの人が使いやすいものへと、正常な進化をしていると言えるのです。
サイズについて
アメリカサイズとなります。
- Sサイズ
身長155cm以上の女性
身長160cm以下の体が小さい男性
- Mサイズ
身長165cm以上のほとんどの男性
身長160cm前後大柄な男性
身長165センチ以上の女性。(場合によってはSサイズのベルトへの交換も可能です)
- Lサイズ
身長185センチ以上の男性、もしくは大柄な男性向け