釣歩日記 〜Hiking Angling Journal

Trail Name ”Gnu(ヌー)”が歩いて釣った日々を力を抜いてつらつらと書き続けたロングディスタンスハイキングの随想本。PCT、CDTセクション、Te araroa。(381ページ)

仕様

重量
287g
ページ数
ページ数:381
著者
長沼商史
出版
小林昂祐(indoor books)

~俺の中では釣り、狩り、ナンパは同類項です。~

~自信家の俺、スタートする前だけだった、「こんなん余裕でしょ!」って思ってたのは。~

本文より抜粋

ページ数:381

別名つりあるきにっき。正しくは「ちょうほにっき」。Gnu(ぬー)さんこと長沼商史が2012年から2014年にかけて、アメリカ、ニュージランドのトレイルをハイキングした時に書き綴ったブログをベースに書籍化した随想本。2012年にアメリカのPacific Crest National Scenic Trail をスルーハイキング、2013年にContinental Divide National Scenic Trail のセクションハイキング、2013年から2014年にかけてニュージーランドの Te Araroa のスルーハイキングを実行したものを随時ブログにあげていました。従来の山行記は、山での記録を元に文章を書き起こすため、洗練され読みやすくなるのが一般的です。しかし、現代はSNSの発達とともに、ブログなどに自分の日記代わりの記録を載せていくハイカーが増えました。この本も、そんなロングトレイルをハイキングしている最中、思い巡ったことや、しょうもなくくだらない気持ちを吐露し、書き綴った非常にユニークな記録を、できる限り原文のまま起こして書籍化をしたものです。ただのブログ本じゃん。そんな声も聞こえてきそうですが、やはり活字を紙の上で読めたほうが情緒が伝わってくるのは不思議なものです。

ロングトレイルや、ロングディスタンスハイキングの解説本は、アメリカではいくつかの種類を見ることができます。またその経験を元にフィクションとして小説化したものなど。ところが、ハイキングの随想本なんて、あまり聞いたこともないです。随想とは、思い巡るままに書いた文章のこと。これが著名な作家のものであれば、それでも出てくる言葉は面白いものになるのでしょう。しかし、所詮は素人のおじさんハイカー。大して面白くもなく、読みにくいのではないか、そう考えてしまいます。

ところが、この釣り歩き日記は、ヌーさんの独特の言い回しやユーモアのある表現がとても面白く、読みやすいのです。また日本では本当のことが伝わりにくい、ロングトレイルのハイカー事情、ロングディスタンスハイキングの真実が、口語文章だからこそ見えてくるのでしょう。

 

長沼 "Gnu” 商史に出会ったのは2011年のこと。最初はハンモックを求めに来た、普通の?、いやちょっと変わった人でした。その人が、まさかPCTに行きたいとまた訪ねてくるとは想像もしていませんでした。ハイキングの経験も乏しく、山屋というわけでもなかった彼がどうして歩いたのか。歩いてしまったのか。多くの人にとっては不思議で、彼にとっては自然な流れの先にあったことがこの本を読んでいくうちに見えてきます。文章は非常にウィットでユーモラスにあふれた雰囲気。一見すると、元気で明るく調子の良い人に思えるのですが、そこかしこに見え隠れする彼の真面目さがさらに魅力を引き立てています。大雑把で大胆かと思いきや、慎重で繊細。野生という言葉を多く使い、ワイルドかと思いきや、ワイルドになりきれない、可愛らしい姿。多くの出会い、失恋(ほとんど片思いと思い込み!)ハイキングに費やした時間が増えるほどに成長する彼自身と上手くなっていく文章がリンクしていきます。時に真面目なことをいうのですが、根っからの照れ屋が出て、最後は下ネタや冗談でオブラートに包み込む。しかし、ここにこそ本当のスルーハイカーのピュアさが出てきているのです。彼の目を通して見えてくるスルーハイカーの真の姿。彼の体験を通じて感じてくるロングディスタンスハイキングの真実。

アメリカのロングトレイル、ロングディスタンスハイキングに興味のあるハイカー。ハイキングも一緒にできたらと考える欲張りなアングラー。冒険に憧れるあなた。現実逃避をしたいあなた。時間が有り余って暇を潰したいあなた。ちょっと息抜きが必要になったあなた。自然体で楽しく旅する Gnuさんの姿や思いを是非読んでもらえたらと思います。
~「自由」これこそがハイキング、ロングトレイルの魅力なんだ。もちろんモラルを持ちつつね。自由さを醸し出しているハイカーが、自然に寄り添ったハイカーが、一番かっこいいんだよね。~
本文より抜粋

・著者紹介

長沼商史(ながぬまひさふみ)、Trail Name GNU(ヌー)
2012年PCTスルーハイカー。サーフィンとフィッシングときどきハイキングをこよなく愛する自由人。人生を頑張ってふざけている真面目な男。アメリカを歩いていると思ったらメキシコでカジキを釣っていたりという自由気侭なトリップを敢行。ハイキング&フィッシングのミクスチャーこそ彼の神髄。勢いままに2013~2014年にはニュージーランドの Te Araroaをスルーハイク。自称、生まれながらのハンター。

(文:長谷川晋)