矯正よりも補正。ほどよい遊びを残すことで足から全身へのバランスを正していくインソール、Balance+に吸湿発熱フットべットを採用したウインターモデルが登場。
仕様
- 重量
- 110g/ペア
- サイズ
- SS 23〜24cm
S 24〜25cm
M 25〜26cm
L 26〜27cm
LL 27〜28cm
*シューズサイズではなく
足の実測値の目安となります。
【アーチ矯正インソール 】
いまやハイカーにもランナーにも愛用者が多いアーチ矯正インソール。スキー、ゴルフ、自転車などのプロアスリートがその効果によりパフォーマンスを向上させたことから、1990年代後半に一般スポーツシーンでも飛躍的に広がりを見せました。
メーカー各社が足病医学とも連携をとりながら様々なアプローチをしていますが、基本となる考えは共通しています。土台となる足が歪むと、骨格全体のバランスが崩れ、さまざまな関節に痛みが出る。だからこそ、足元から全身のバランスを矯正するために正しく調整されたインソールが重要である、というものです。 基本的な考え方は共有されているものの足をどのように正していくか、という点に関してはメーカー各社で意見が分かれています。大きく分けると以下の2つと考えてよいでしょう。
- その人の持つ現在の足裏カーブにフィットさせるインソール。カスタムインソールの場合は荷重をかけた状態で足裏カーブをそのまま再現してインソールを作製することが多い。
- その人の持つ理想的な足のアーチを持ち上げてつくりだすインソール。カスタムインソールの場合は無荷重状態で理想の骨格アーチを探りインソールを作製することが多い。
前者の場合は、フィット感は優れているものの現状が維持されてしまいます。無理なく使用できるのは良いのですが、足下からバランスを正していくという観点からするとその効力はどうしても弱くなります。また足のアーチに関する問題を解消するにも時間がかかってしまいます。後者の場合は、最初から理想的なアーチを骨格を持ち上げることで作り出してしまいます。その劇的な変化が体感できるのでインソールの重要性を実感、理解していただきやすいのですが、人によっては矯正力が強すぎて痛みを伴うこともあるようです。
【矯正よりも補正のバランス+シリーズ】
こうした両極ともいえるインソールの考え方がありますが、その中間に位置するのがHOSHINOのバランス+シリーズといえるでしょう。足裏カーブをそのまま再現することもなく、無理にアーチを押し上げることもない。足の機能上必要な可動域を残しながら、「足が変化しすぎる手前で止めてあげる」形状を目指して作製されています。足裏そのままの再現でフィット感を高めすぎることや、理想のアーチを追い求めて無理に矯正することはある意味「遊びが無い」状態だといえます。HOSHINOのバランス+シリーズは「遊びの範囲を残しているインソール」、「矯正ではなく補正のためのインソール」と表現することができるでしょう。
「遊びの範囲を残している」という点が最もわかりやすいのがこのヒールスタビライザー。多くの矯正インソールは踵の外周部をスタビライザーがぐるっと覆うように補強しています。それに対してバランス+ではスタビライザーの一部をあえ て無くしています。踵のホールドに遊びがあるぶん過剰な力を逃がしてくれるのです。車のハンドルやアクセル、ブレーキに多少の遊びがあることと同じです。これにより履き心地もやさしくなっています。
バランス+のもう一つの重要なポイント、それはインソールの厚みに前後差がない、いわゆるゼロドロップだということ。矯正インソールのほとんどはヒールが厚くなっているの で実は珍しいのです。したがってALTRA や inov-8 のようなドロップ差の少ないシューズに入れて使用できるのです。ゼロドロップの状態は裸足同様のナチュラルな骨格のポジションでもあります。またフラットなため汎用性も高く、様々なシューズにあわせやすいのです。
【吸湿発熱フットベッド】
足元は地面と接する底から冷えていきます。保温の観点からいってもインソール選びは重要です。ウインターブーツやマウンテンブーツでしばし用いられるのはインソールにアルミを挟み込み熱を反射させる方法。バランス+HFのプロトタイプでもアルミの挟み込みはテストされたそうです。しかしこの方法はスキーブーツやマウンテンブーツのように靴自体の保温性が高いものとの相性は良いのですが、ハイキングシューズやトレイルランニングシューズでは靴自体の保温性が低いため一定の時間を過ぎるとインソールやアルミ材そのものが冷えてしまうため相性がいまひとつなのです。
そこでトレイルランニングシューズやハイキングシューズにも対応できる保温系インソールとしてホシノがテストの結果落ち着いたのが吸湿発熱素材。ミズノのブレスサーモ以降、湿気を吸って発熱する素材はたくさん出ています。バランス+HF(Heat Foot)ではフットベッドの内側に吸湿発熱素材を使い、保温効果の向上を狙っています。アルミとの比較テストも経て、吸湿発熱素材のほうが過剰に暖かくなったり急激に冷えが生じたりという変化が少なく、適度で安定した保温効果を得られるとの結論に達したようです。
ゼロドロップ系シューズとの相性もいいし、ほどよい保温性を得られる。そう考えると、冬のトレイルランニングや、積雪が少ないところでのハイキングで、トレランシューズやスリーシーズンのトレッキングシューズを使うときに検討する価値は大きでしょう。これらのシューズはそれ自体の保温性がありませんのでインソールで補える保温性には限界があります。しかし冬の低山などにいきはじめたハイカーやトレイルランナーにとっては多少なりとも保温効果をプラスできる価値あるインソールだといえるでしょう。