
この春、マックパックから新登場したバックパック「ケテ」。実はその企画段階からハイカーズデポも関わってきました。ここでは同モデルの企画裏話なども交えながら解説をしていきます。
macpacについて

まず初めにマックパックを知らない人へ同ブランドの説明をすると、ニュージーランドで1973年に創業されたアウトドアブランドです。バックパックだけでなく、テント・寝袋・ウェアなども展開する総合メーカーとしてニュージーランドのハイカー達に知られ、対応するアクティビティも登山だけでなくマルチスポーツ(クライミング・カヤック・自転車)志向が強い印象です。昔を知る人ならフェアリーダウン(現在はマックパック内へ統合)と同じ国のアウトドアブランドとして記憶に残っているかと思います。
Kete(ケテ:籠)
ケテというモデル名はニュージーランド先住民であるマオリ族の言葉が由来で、「籠・バッグ」という意味を持ちます。彼らが麻の葉で編んだその籠はとても頑丈だそうで、かつては色々な物の運搬に使われていたそうです。そんな籠の現代版とも言えるマックパック製ケテも堅牢さでは負けていません。ちなみに選に漏れたモデル名候補の中には、 キエキエ・ケア・ママクといった可愛らしい言葉の響きを持つものもありました。興味があればどんな意味なのか調べてみてください。
キスリングからも影響を受けたシンプルな作り

ハイカーズデポへ来たことがある人なら、店の入り口に置いてある帆布製の横長バックパックを見ているかもしれません。これは昭和の登山ブームを支えてきたバックパックで、同様の作りの物を総称してキスリングと呼びます。左右に張り出した大きなポケットは、ザングツとも呼ばれた昔の登山靴が入るように作られ、雨蓋がない開口部は紐で結えるだけのシンプルな作りとなっています。
ケテの初期コンセプトは「ポケットが一切ないシンプルなバックパック」というものでしたが、何度目かのサンプルにおいてマックパック側よりサイドポケット付きのものが提案されました。初期コンセプトとは異なるものの、その姿がキスリングと被り別の魅力が見えてきたのでこの形となりました。
AzTec® 8oz canvas

ケテの堅牢さを支えるのがマックパック独自の生地であるアズテック。これは強度に秀でるコットン繊維と疎水性に優れるポリエステル繊維を撚り合わせて作った生地で、そこへ特殊なワックス液を繊維へ含浸させて防水性を高めています。アズテックには幾つかの種類があり、ケテに使われるのは「アズテック8ozキャンバス」というもので、耐久性と軽さのバランスが重視されています。
その機能面もさることながらアズテックを最初に目にした人が惹かれるのは、恐らくその自然な風合いではないでしょうか。ワックス加工されたコットンポリエステル生地は使うほどに馴染んでいき、折れや擦れなどが加わる頃には皮革製品のエイジングにも似た愛着を覚えるかと思います。そして時間の経過と共に劣化するナイロン生地(の裏のPUコーティング)と違い、アズテックにはその類いの心配がない点も良さとして挙げられます。
用途に合わせたカスタマイズ
ケテには着脱可能なウエストベルト・チェストベルト・トップストラップ・サイドストラップ・背面パッドが付属しています。そのまま使用しても構いませんが、使い慣れてきたならそれらを外して使ってみるのも良いでしょう。全て外せば約160gの軽量化ができます。またシンプルな外見は藪漕ぎなどの場面においても有効です。

着脱できる付属ストラップ類は用途に応じて設置箇所を変えられます。これはパック本体に縫い付けられたデイジーチェーン沿いで変更するのですが、これを応用して様々なものをバックパックへ取り付けることが可能となります。写真はその一例ですが、ハイキングだけでなくクライミングやパックラフティングなどにも対応しますし、スノーシューやロングフィンを取り付けても良いでしょう。
25年近く前の話になりますが、当時の職場に道具への視点が面白く影響を受けていた先輩がいました。その先輩が漏らした「アズテックの生地でシンプルなバックパックを作ってくれたら良いのにな」という一言が、ケテの根っこにはあります。先輩のような人がケテを楽しんで使ってくれたなら私達も嬉しいです。


