Murmur

軽さへの追求。”初代”を彷彿とさせる創業者Glen Van Peskiの思いが詰め込まれた超軽量オーバーナイトバックパック。山で眠るための必要最低限が実感できる。

仕様

重量
全体 356g
本体 237g
ウェストベルト 69g
Thin SitPad 50g
容量
35L
*本体容量 約28L
サイズ
ワンサイズ 背面長 48cm
高さ 22inch(約56cm)
幅 11inch(約28cm)
奥行き 4.5inch(約11.5cm)
吹き流し部分の最大高 9inch(約23cm)

追加情報 2017.4.2
マーマーがアップデートされました。今や伝説にもなりつつある初代「青マーマー」をご存知でしょうか。当時の縫製工場の技術レベルからも縫い目が裂けたり、初期不良も多かったりもしましたが、その軽さや使いやすさは多くのULハイカーを魅了しました。その後より丈夫で扱いやすい「2代目」へと変化して行きましたが、同社「KUMO」の登場により再び軽さへの求道者に戻って行きました。2016 ver.よりもさらに青マーマーに近づいたシンプルなフォルムとデザイン。結局これで良いんです。これだけ機能があれば良いんです。
30デニールロビックナイロンにメインボディ生地は変更。補強部は70デニールロビックナイロンを使用。レート値で耐水圧3000mある防水素材であるにもかかわらず極薄で超軽量となっています。
メッシュ素材は、Ultralight Micro Mesh に変更。超極薄のストレッチ性の高いメッシュ素材です。以前使っていたパワーメッシュによく似ています。

ちなみに希望のベースウェイトは、5 pounds(約2.3kg)だそうです。以前ならばたくさんいましたが、今ではグラムカウンター的ウルトラライトと言えるハイカーは日本のマスメーカー、ガレージメーカー問わずいないでしょう。ウルトラライト風は多いのですが。むしろ、一部のショップスタッフもしくはカスタマーの方が軽量化を相変わらず楽しんでいるハイカーが多いくらいです。Murmurはウルトラライトを語るならば一度は使うべきバックパックです。もしかしたら壊れてしまうかもしれませんが、怖がらずにぜひ使って欲しい。きっと違うハイキングの世界への一歩となるはずです。

*本文中の写真は一部新しいものに切り替わっておりますが、内容については変更されておりません。上記追加情報を合わせてご覧いただければと思います。ご迷惑おかけしますがよろしくお願いいたします。


ウルトラライトハイキングとは、必要最低限の簡素な装備にも関わらず自力で泊まりながらハイキングができる、そんな驚きを教えてくれるハイキングスタイルと方法論です。そのためには大きなバックパックは不似合いでしょう。Gossamer Gear/Murmur Hypaerlight Backpack は、正に山で眠るための必要最低限を実感するためにこそ生まれた超軽量バックパックと言えます。

Gossamer Gear(前GVP Gear)創業者 Glen Van Peski が彼の行う全てのハイキングで愛用するバックパックそれこそがMurmurです。なぜならこのモデルは、『Glen Van Peski自身が使いたいバックパックをデザインすること』というコンセプトと、『オーバーナイトで究極的に軽く、小容量でハイキングするためのバックパック』を目的としてデザインそして開発されているからです。

Gossamer Gear / Murmur Hypaerlight Backpack

Murmurを背負うGlen

■ History of Murmur

2009年に発売された「初代Murmur」は、同社がかつてラインナップしていたWhisper、G5という超軽量バックパックをふまえ開発されました。2012年「二代目Murmur」にリニューアル。基本コンセプトは同じながらも、多くのカスタマーの声に応えるかたちで、より背負いやすく丈夫に、という点が強く意識されていました。ところが、同年にリリースされた同社モデル「Kumo」は、容量をマーマーと同様ながら全体に強度や剛性感を意識し、マーマーの強化版であり、「Gorilla」の小型軽量モデルのような位置付けになったことで、マーマーは改めて軽さを意識するモデルへと舵を切ることが可能になったのです。

■ メインボディの素材

素材は、20dn coated nylon(0.97oz/sq. yd. )片面はシリコンコーティング。もう片面はポリウレタンとシリコンのブレンドコーティングです。これにより、従来採用していた30dnのシルナイロンと比べても、生地重量に対し丈夫かつ耐水性が高くなっています。

透けてしまうほどのこの生地は決して強いとは言えないでしょう。どれほど強度が試験上の数値の上で向上したとしても、物理的に薄ければやはり突き刺しに弱かったり、硬いものに挟まれれば、摩擦により擦り切れてしまうということもあるかもしれません。これは上記にも説明した通り、マーマーが再び軽さへと向かったことの証と考えられます。

マーマーはそもそも超軽量なバックパックなのですから、強度を求めるのには限界があります。ですが、この軽さは大きな魅力と優位性があることは否めません。ユーザーの判断と少々の気遣いいかんでは、かなり使用範囲が広いと言えるでしょう。

■ サイズ

容量36Lと表記されますが、Gossamer Gearは特徴的なフロントポケット等の容量を含めての表記になります。実際の本体は30L弱程度(メーカー値 28L)。

■ フロント、トップの形状

トップをロールしてからサイドのバックルで固定する方法がとられています。この形状は過去、G5や初代マーマーでもほぼ同様でしたが、サイドの面ファスナーで固定していたため、経年劣化で面ファスナーの固定力が弱まることから、より持続性の高いバックルでの固定としています。(Roll-Top closure)

バックルは左右でオスメスとなっているため、荷物が一時的に増え、サイドのバックルでの固定が出来ない時には上部で合わせることで口を閉じられます。('Dry Bag' Style)

■ サイドポケット

サイドポケットは今までよりも小さめになりました。バックパックの奥行き自体は変わっていませんが、ポケットのマチをなくしています。ポケット下部は補強がされているものの、物が入ったときに下に垂れ下がり生地が傷むのを防ぐためです。

■ 強化されたメッシュ素材

今までのゴッサマーギアは、Power mesh を採用していました。パワーメッシュの利点は4方向のストレッチ性の高さと適度な強度でしたが、摩擦にはやや弱く、また紫外線によるポリウレタンの劣化で伸縮性を失うことが弱点でした。

Darlington Meshは横方向のストレッチのみですが、伸び率は非常に高く、また長期使用などで紫外線に長く晒されても、パワーメッシュと比べて劣化しにくいという利点もあります。

■ バック部とショルダー、ウェストハーネス

バックパネルはゴッサマーギアの象徴とも言える背面パッドが取り外せるシステムです。従来別売りの Sit Pad ですが、マーマーには専用のより薄く軽量な Sit Padが付属になっています。メッシュ部はフロントメッシュの素材とは異なり、ソフトでストレッチ性の高いパワーストレッチが使われています。

ショルダーは、パッドなし。肉抜きされ通気性が高いWall Meshを使用しており、薄く柔軟で体にフィットします。

ジッパーポケット付きのウェストハーネスは、簡単に取り外せるので、より軽量化を求める方にも対応します。

■ パッキングの自由度を高める Lush loop

ここにコードやコードロックを使う、もしくはバンジーコードを使ってコンプレッションをかけたり、ものを挟んだりするのに使えます。

■ トレッキングポールホルダー、アイスアクスホルダー

正面を見て左側がトレッキングポールホルダー。石突きを指して固定します。右はアイスアクスホルダー。

従来の無骨でどことなください、Gossamer Gearのデザインに魅力を感じているのは確かです。しかし、毎回リニューアルデザインをした製品の細部を見れば見るほど、各改良点に意味があることが見て取れるのです。日本ではガレージメーカーと言われますが、彼らはガレージメーカーとは思っていません。インディペンデントではあるものの、メーカーとしてより良い商品を作ることを考えています。今回のモデルチェンジで重量は増しました。これは以前Goliteにも起きた動きです。しかし、これこそメーカーとしての成長の明かしです。多くのカスタマーに支持されるようになったからこそ、多少の重量増を受け入れてもより多くの人が使いやすいものへと、正常な進化をしていると言えるのです。

小さめの容量、頼り無さげな素材。使用するハイカーに覚悟と応用力を求めることは確かです。しかし、無雪期のハイキングならば3泊4日までは実際に対応できます。素材についても多少の気遣いさえできれば、十分に実用可能範囲です。まずは日帰りや小屋泊まりから慣らしていくのも良いでしょう。幕営地からのピ ストン用アタックザックとしても良いでしょう。イマジネーション次第で様々に使用できるバックパックであることは確かです。