Race

世界最軽量級のスノーシュー。過大な浮力は望めないが、斜面での取り回しや足運びに圧倒的に有利なサイズと軽さが魅力。より高い浮力とトラクションを備えたワカンをイメージさせるスノーシュー。

仕様

重量
917g/ペア
サイズ
全長 510mm
全幅 200mm
表面積 838㎠
デッキカラー
オレンジ/ブラック、イエロー/ブラック、グレイ/ピンク

まるでワカン
小回り利いて軽く小さい
でもちゃんとスノーシュー
『Race』

Traditional, Simple & Light

1992年に創業して以来、「World Lightest」を標榜してきたスノーシューメーカーNorthern Lites Snowshoes。彼らが最も留意しているのが

「軽くて、耐久性が高いこと」

一見相反するこの二つの要素ですが、それを実現するためのNorthern Litesの結論が

「シンプルであること」

Ultralight Hikingというカルチャーがまだアメリカでも一般的になる以前の90年代前半、まさにULギア的なアプローチのスノーシューが既に誕生していたのです。

スノーシューは雪上で浮力をえるための道具です。重力に対抗する浮力をえるわけですからスノーシューは軽いにこしたことはありません。浮力をえるには大きな面積が必要ですが、面積に対して重すぎるスノーシューでは浮力が相殺されてしまいます。重量を最小限に抑えながら浮上を最大化することが、スノーシューが誕生した6,000年前から変わらぬ命題だといえるでしょう。Northern Litesが重量を重視しているのはこうした理由からなのです。
スノーシューメーカーは独自のアプローチで現代のスノーシューをデザインしています。モダンスノーシューの特徴としてあげられるポイントとして

1)耐久性を重視したプラスティック製デッキ
2)固定力を高めるための立体型ビンディング
3)登坂力を重視したクランポン

この3点がよく見受けられます。よりハードなコンディションでの使用にも耐えうるような進化が基本コンセプトだと言えるでしょう。しかしメリットもあればデメリットもあります。1)により重量が増した。2)によりコンパクトな収納が難しくなった。3)により普通のクランポン(アイゼン)に近くなりスノーシュー独特の浮遊感が減少した。とも指摘できます。どちらがより良いのかという問題ではなく、スノーシューデザインにおいて何を重視するのかという問題です。Northern Litesはスノーシューをより複雑に多機能にデザインする方向ではなく、よりシンプルにデザインする方向を選択してきました。

snowshoe これぞ伝統的なスノーシュー。スノーシューの基本。

結果、このようなトラディショナルなスノーシューを最も踏襲しているメーカーのひとつだと言えるでしょう。このデザインにスノーシューの必要十分な機能が備えられているのではないか、そんな「温故知新」な考え方はUL的でもあり興味深いところです。

ULハイキングスノーシュー

そんなNorthern Litesのモデル中、最も小さく軽いスノーシューがこのレース。名前の通り冬のトレイルランニングレースでもあるスノーシューレースに対応したスノーシューです。米国スノーシュー規格に準拠し2004年に製品化されました。トレイルランナーのパートナーとしても興味を持っていただきたいですが、むしろハイカーにとってこそ冬の悩みを解消するパートナーとして検討していただきたいスノーシューなのです。

「スノーシューは持っていきたいけれどずっと使うわけじゃないしな。アイゼン付けることになれば途中からは担がなきゃいけないよな。そうするとスノーシュー重たいなぁ。ワカンの方が軽いしワカンにするか。日本の山ならやっぱりワカンだよな! でもなぁワカンいいんだけど、もうちょっと浮力があったらいいんだよな。やっぱりスノーシュー持っていこうかな、、、(最初に戻る)」こうした堂々巡りを毎年経験しているハイカーは多いのではないでしょうか。ならばワカンと同じような軽さで、同じように取り回しができて、ワカンよりも少し浮力が高いスノーシューがあれば試してみたいということではないでしょうか。Northern Lites レースはまさにそうしたハイカーにこそ検討していただきたいスノーシューなのです。

Yellow (up side)
Yellow (under side)
Orange (up side)
Orange (under side)

仕様&詳細

全長51cm、幅20cm、重量917gは最軽量アルミワカン(エキスパートオブジャパン スノーシューズL 全長44cm、幅18cm、重量780g)と比べた場合、サイズ重量ともにやや大きい重たい程度。

サイズ感はこのような感じ。まさにワカンのようなスノーシュー。

ビンディング

登攀用スノーシューの名品として時代を変えたMSRデナリアセントを彷彿させるシンプルなビンディング。バンド破損時には交換がもちろん可能なだけでなく、ビンディングがかさばらないので、重ねての収納&運搬が非常に容易です。

嵩張らないシンプルなビンディングはバックパックへの装着に有効です。

クランポン

現代のトラクション重視のスノーシューと比べれば物足りなさを感じますが、ハイキングには必要にして十分なクランポン。雪面をつかむ前爪に、横滑りを防ぐ踵の爪、そしてアルミフレームとデッキとを接続するパーツには滑り止めのための小さな突起も付属しています。個人的には尾瀬、八甲田、東北などのBCスノーボードでも使用してきた実績もあります。

スノーシューとして必要十分なクランポン
フレームとデッキの接続パーツにも滑り止め

雪山は時期、場所によって様々な様相を見せます。それらに対応しようと考えるとついあれもこれもと欲張ってしまいます。もちろん全てに対応できるのが一番ですが、それを考えすぎると道具が選べなくなるのも事実です。
大事なのは自分にとっての優先順位を決めること。Northern Lites レースは決して万能なスノーシューではありません。がっつり荷物を担ぐ方や森林限界上のカリカリの雪面での行動が多い方などにはフィットしないのも確かです。
しかしワカンとスノーシューとで悩んでいるハイカーやとにかく携帯に便利なスノーシューを探しているハイカーにとってはきっと何かしらのきっかけを与えてくれるはず。ペアで900gというワカンのような軽さを手にすればアナタのキモチも軽くなるはずです。一緒にスノーハイキングにでかけましょう!