登山靴からトレイルランニングシューズまで幅広く対応する軽量簡易アイゼン。ペア155gという軽さと収納性、グリップの良さはもちろんだが、雪道歩行の基本を学ぶことができる点も見逃せない特徴です。
仕様
- 重量
- 155 g / ペア
- サイズ
- プレート長 108mm x 幅89mm
ピン長 11mm - 素材
- ポリアミドナイロン樹脂ザイテル製
スチールピン10本
前衛的で攻撃的なアイスツールの開発で有名なイタリアGRIVEL社。クライマーだけでなくハイカーにとっても興味深いウインターギアがありますが、その中で最も多くのハイカーに有効だと思われるのがこの超軽量簡易アイゼン「スパイダー」です。
冬の低山での踏み固められたトレイルや残雪期の山では4本爪、6本爪の軽アイゼンを選択するハイカーが多いようですが、従来の軽アイゼンの場合
ー土踏まずのくぼみが無いハイキングシューズ、トレイルランニングシューズとの相性が悪い
ー特に4本爪の場合、前後バランスがとりにくい
ーフラット歩行ができず、つま先や踵にたよりがちな初心者の場合、むしろグリップが効かない
このような思いをすることも多いことと思います。もちろんこのスパイダーも土踏まず部分でのグリップを前提とした製品ですが
①ハイキングシューズ、トレイルランニングシューズとの相性が良い
②プレート面積が大きくピン数も10本と多いため、より広範囲でのグリップが可能
③ペア155gという軽量性とコンパクト性とで収納に優れる
という点に優れています。単なるスチールピンでのグリップですからあくまで踏み固められたり、朝晩や日陰でしまった雪面、雪渓での使用に限定される ことを原則としてください。それでも冬の奥多摩、丹沢等、積雪が少ないもののトレイルが霜や薄くつもった雪で滑りやすい山々では、気軽に持参し、気軽に装 着できる安心感を与えてくれます。
*)ピン配置。ピン先はさほど尖っていないが面積が広いせいか、意外と効く。
ちなみに使用しているプラスティクプレートの素材「ザイテル」はデュポン開発のポリアミドナイロン樹脂。耐薬品、耐湿、耐高温、耐低温、耐衝撃という特性を持っており、様々な工業用品として利用されています。低温化での破損対策に最適な素材のひとつといえます。
取り付け方の注意点
シンプルなギアだけに付け方を間違えると取れてしまいます。難しくはないですが要点だけ押さえて下さい。
かかとにしっかりと引っ掛けるようにして下さい。“かかと”と”甲”で固定します。
正面から見て、ロックパーツとストラップが外側に来るようにして下さい。
左右のマークは無いですが、良く見るとロックパーツの付いている向きが違います。ロックパーツが外側に来るようにします。広い方が前になります。か かとを掛けてから甲の外側でロックパーツにストラップを通し、最後にストラップの抜けを防ぐ為に四角い輪にストラップを通して下さい。
参照)ハイカーのアイゼン使用について
無雪期のハイキングを楽しまれていたハイカーから「今年は冬も山に行きたい」という声を良く聞きます。近年は軽量でフレックスなアルミ製10本爪アイゼンの種類も増え、足回りの選択範囲が豊富になりました。しかし雪の山での歩行は道具だけに頼ると危険な場合もあります。まずは「歩き方」を意識しましょう。
トレイルランニングシューズや柔らかいハイキングシューズでは踵着地でつま先で蹴りだす通常の歩き方になってしまいます。無雪期の場合はこうした歩 き方ができることが速度や効率の上でもメリットなのですが、雪の上でこの歩き方をそのまますると転倒の原因になります。街中の凍った路面を思い出せば蹴り だそうとしても滑ってバランスを崩すことが想像できると思います。
雪の山では足をやや広げて足裏全体を前に落とすような歩き方が基本になります。つま先で後ろに蹴るのではなく足裏全体を前に置くイメージで歩くことをまずは心がけてください。こうすれば自然と足裏全体を使うことができるのでつま先&踵に爪の無い軽アイゼンでもしっかり歩くことができます。また軽アイゼンでこうした歩き方を意識していればフルサイズのアイゼンにもスムーズに移行できると思います。ちなみに前爪があるフルサイズアイゼンでつま先で蹴りだす歩き方をしていると、前爪が雪面に食い込んで転倒することもあるので注意が必要です。
山岳会や山岳部、ガイドさんが実施する「雪上歩行訓練」ではこうした歩き方を反復練習で習得するもので、大事なものなのです。
当店でもGRIVELスパイダー以外に10本、12本爪アイゼンも扱っておりますが、購入時には上記のことをご理解いただければ幸いです。
冬の山もはじめてみたいと考えていらっしゃるハイカーの方は、まずは軽アイゼンを持って近郊の山に足しげく通ってはいかがでしょうか?歩き方を意識 すれば雪上の歩き方に慣れるはずですし、12月から2月の山の天候変化の幅の広さを実感できます。ガイドや山岳会、経験者のお世話にならずに試行錯誤しな がら楽しみたいというハイカーはこうした少しずつのステップを踏むことをオススメします。
(ガイド講習会には一度参加することをお勧めいたします)