テント泊を繰り返しながら長い距離を進むスキーツーリングや、目的とする斜面までのアプローチに数日を要するエクスペディションスキーでの使用を意図したバックパック。しかしアバランチギアの収納ポケット、同社ポーターのような汎用性の高いデイジーチェーン、脱着可能なウエストベルトはスキーに限らず、雪山での活動全般に対応します。BCスキーヤーだけでなく、ハイカーのスノーハイキングにとっても有効な汎用ウィンターパック。
仕様
重量:ホワイト1150g/Mサイズ(本体880g+ウエストベルト170g+アルミステー100g)
容量:55-62L(本体+ポケット)
素材:本体 DCH150・側部&底部 Fully Woven Dyneema・ポケット Dyneemaストレッチメッシュ
サイズ:S・M・L
カラー:ホワイト
白銀の世界をより遠くへ
雪原を歩き、雪面を滑る
冬のオーバーナイトツーリングに特化した
ウィンターバックパック
Hyperlite Mountain Gear(HMG、ハイパーライトマウンテンギア)では長距離ハイキングを意図したフラッグシップモデルであるウインドライダーシリーズ のほか、FKTスタイルでのハイキングを意識したアンバウンド、季節を問わないオフトレイルでの活動を意識したポーターなどが2011年の創業以来、ハイカーの間で支持されているが、ウィンターシーズン用のバックパックも幅広いラインナップを誇っています。アルパインクライミング用のアイスパック、プリズム、ホルカといったモデルの他、バックカントリースキー用としてヘッドウォール、クラックス、アスペクトが展開されています。これらのウィンターパックの中で、雪山でのオーバーナイトハイクを志すハイカーにとっても興味深いモデルがこのヘッドウォール55です。
ヘッドウォールの開発意図
バックカントリースキー用と一口にいっても、そのスタイルは現在、非常に多様化しています。かつてのスキー登山といわれていた時代のように、荷物を担ぎ、スキーで上り下りを繰り返しながら長い山旅をおこなうもの、登攀要素が強い急傾斜の雪面を滑ることに特化したエクストリーム要素の強いもの、山小屋を活用しながら周辺の斜面での滑降を楽しむもの。その日数も日帰りから、複数日数のオーバーナイトまで。スタイルも日数も様々です。通常のハイキングよりも活動における技術性や専門性も高く、バックパックも専門特化が進んでいます。
こうしたバックカントリースキー用バックパックにおいてヘッドウォールが意識しているものは「テント泊での複数日数活動を前提とする」バックカントリースキーです。テント泊を繰り返しながら長い距離を進むスキーツーリングや、目的とする斜面までのアプローチに数日を要するエクスペディションスキーがそれに相当するといって良いでしょう。
冬のマルチデイバックパック
これだけを読むと、かなり専門性の高いバックカントリースキーパックなのですが、ポイントとなるのは「マルチデイ」というところ。エクストリームな滑降を目的としたスキーパックはコンパクトな設計で滑降に特化していきます。しかしヘッドウォールの場合は、滑降そのものよりも「複数日数の雪山旅」に対応することを重要視しています。要はスキーの運搬を得意とする冬山用バックパックと考えれば良いのです。スキーを使う使わないに関わらず、雪山を長く旅したい。そんなわたしたちハイカーにとっても有効なウィンターバックパックでもあるのです。
ヘッドウォールの細部
フロントポケット(アバランチギアポケット)
サイドストラップ
3本のバックル付ストラップが両サイドに配置されています。スキーの装着を前提としているため、スキーエッジなどで簡単に傷がつかないよう、強度の高いFully Woven Dyneemaがサイドの素材になっています。またストラップのテープの長さが長いため、フロント側でこのように道具を固定することも可能です。
デイジーチェーン
アックスホルダー
ウエストベルト
ボトム
バックパックの両サイド同様、強度の高いFully Woven Dyneemaがボトムの素材に使用されています。
背面および内部
背面はウインドライダーやポーター、アイスパックなどの定番モデル同様、パッドが封入されており、アルミステーは2本となっています。背面上部にはアクセサリーポケットがひとつ。目止めについてはほとんどの箇所がおこなわれていますが、こちらも定番モデル同様、底部の縫い付け部分は補強の関係で目止めがされておりません。防水については一般のバックパック同様、内部でしっかりおこなってください。
一年を通じて、同じバックパックで旅をする。それが一番シンプルだと思います。しかしウルトラライトハイキングを志向すると、夏を中心とした無雪期は30L程度のバックパックで十分に旅ができることに気がつきます。一方、冬を中心とした雪の季節は寝袋、防寒着、その他スノーギアなど否応もなく無雪期の道具立てとは異なってしまいます。ウルトラライトで雪山をと考えても、50Lがひとつの目安になるでしょう。ヘッドウォールはバックカントリースキー用ですが、滑走する前、白銀の世界を旅することも視野に入れたつくりと容量のバックパックです。ULハイカーのウインターハイク用としても十二分に提案できるバックパックです。